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『サクヤさ~ん!起きて下さいよ~』 深い眠りについていたはずの俺は、突然の大声に飛び起きた。 人がいると眠れない性分の俺は、目覚めを起こす者もいないから。 『千夏!何してる?』 『おはようございます』 『おはよう。じゃなくて!』 『初お仕事で緊張しちゃって…目覚ましよりも早く起きちゃいました!』 いや。 突っ込みたい事が沢山あり過ぎる。 とりあえず突っ込んでみるか? 『初仕事はお前だけだ』 『そうですね』 『俺は起こしてくれなど頼んでいない』 『そうですね』 …俺に背中を向けたまま、脱ぎ散らかした服を集めている千夏には、何を言っても無駄かも知れない… この時、面倒くさい女だと思った。 辞めるなら早く辞めろと願った。 あの日までは…
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