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『どうぞ』 申し訳ないほど狭い台所から、湯気の上がったコーヒーを持ってきたかと思うと、俺の前に置き向かいに座った。 『ごめんね。こんな時間に』 『いえ…』 『どうしても里緒に会いたくてさ。我慢出来ずに来ちゃった』 顔を赤らめ、俯く里緒。 俺の勝利は目に見えていた。 『明日は朝から仕事?』 『はい』 『そっか…ごめんね。 顔も見れた事だし、帰るわ』 『えっ…』 結局、30分ほど話したところで、玄関へと足を進めた。 『じゃあ。コーヒーごちそうさま』 『本当に顔を見に来たんですか?』 『そうだよ。本当はもっと早く終わるはずだったんだけど… でも里緒の顔見て元気になれた。 また来てもいい?』 『休みの前の日なら…』 玄関を閉めると笑いが込み上げてきた。 里緒。知ってる? お前は俺の毒牙にかかったんだ…
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