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「義仲様…」 「……っ」 いつのまにか義仲は兼平にしがみついていた。 兼平は優しく手を回した。 「落ち着いてください義仲様、敵が居ますよ」 「…」 コクン 義仲は頷いた。 しかし、まだ手は震えたままだ。 巴は剣を手塚太郎の喉元に向けた。 「手塚太郎、今すぐこの場を去れ。 お主の役目はもう終わった。 ならば我らにもう用はないであろう。 今ここですぐにお主を殺すこともできる。 だかそれを義仲様は望んではおらぬ。 去れ!今すぐに!」 鋭く光る刃に、手塚太郎は少し怯えたが、すぐに冷静を取り戻した。 「はっ、情けをかけてくれとは誰も頼んではおらぬぞ」 そう言い、源氏軍の方へ走り去っていった。
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