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「義仲様」
「…分かっておる…兼平」
そう、戦だ。
今から戦が始まるのだ。当事者は自分らだ。
元仲間と。
源氏の逸れ者という立場で。
「…っ一条…お主とだけは剣を交えたくなかった…」
「義仲…っ、すまん………名を挙げよ!」
「……」
静かになった。
旗が靡く音だけが響いている。
山峡。戦の絶好の場所。
「…我が名は木曾義仲!この名を聞いた事があるだろう。
阿修羅の鬼とは我の事!…お前は………一条次郎と聞く!」
少し躊躇った後に、義仲は意を決して叫んだ。
「お互いに良い敵だ!この首を頼朝へ持って行き見せよ!厚情などいらぬ!」
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