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一条はその言葉を聞き、少し悲しく…寂しい顔をした。
「…只今名乗るのはあの…あの、木曾義仲…大将軍であるぞ!
行けい若造!必ず、逃がすな!」
一条がそう叫んだと同時に、兵が一気に動き出した。
血の気の多い若者から
戦慣れをしている年寄。
仲間だった者達が
主のために刃を交える。
軍の数は圧倒的に一条の方が多い。
義仲の軍は段々と減っていった。
「義仲様!私の傍を離れないでください!」
「…兼平、すまない!私も戦う!」
「っ貴方は、今は…戦えない!その震えた手では」
「…っ」
泣きそうだ。
兼平は曇った表情の義仲を見て悟った。
やっと一条軍の陣を抜けるころには、主従四騎となっていた。
中には自ら義仲の軍を撤退し、源氏に寝返る者もいた。
巴、手塚別当、兼平、そして義仲だけとなった。
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