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義仲は巴を見つめた。
やはり、これしか…。
「…巴」
「なんです」
「…お前は逃げるんだ!」
「…え?……何を言っておられるのですか…」
巴は自身より少し背の低い義仲を凝視した。
「お前は女だ、逃げても不信には思われない。」
「逃げる気など私にはありません」
「命令だ、今すぐ…」
「私は貴方に一生を捧げると忠誠を誓ったのです!」
「忠誠など!…その気持ちだけで充分だ」
「…私はっ、断じて貴方から離れません!」
巴は唇を咬んだ。
義仲は思った。
そう。
巴は昔からそうだった。
決して信念を曲げない。
頑固で…何かあると、唇を咬むのがクセで…。
「…巴、義仲様は、お前の事を思って」
「うるさい!私は一生義仲様お仕えるとっ……お前とは違うのだ兼平!」
巴は叫び、剣を振りかざした。
その剣で内輪揉めをいい機会というように入ってきた敵を倒した。
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