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祇園精舎の鐘の音諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす―― 義仲は、幼い頃に親を殺され源氏の養子となる。 幾つもの戦に入り 幾度も剣を交え、全ての名誉をものにしてきた。 そんな彼を、人々は 「阿修羅の鬼」と呼んでいた。 しかし義仲は、その肩書きとはまったく異なる容姿をしていた。 美しい。 彼を見た者は誰でもそう思うだろう。 しかし彼自身はその容姿を気に入っていない。 顔を隠すために、彼はいつも般若の面をつけていた。 華奢なその体に秘められた力は、大木をも揺るがす程。 学問も他に引けを取らない程度に嗜んでいる。 源氏が平氏を滅ぼそうと企んでいる時。 義仲も都の戦へ出された――  
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