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まだ泣いちゃダメだ、と比奈は涙をこらえた。
唇をかみしめながら大きなかばんを出し、必要なものをつめこんだ。
比奈が部屋から出ると、茜はそのままソファで泣いているし、智和は床に座ってうなだれていた。
「…しばらく帰らないから、その間に出て行って。もうあたしの前に顔見せないで」
比奈はそう言ってアパートを出た。
玄関を出る前に、二人に名前を呼ばれたような気がした。
でも振り向くわけにはいかず、口をキュッと締めて歩き出した。
歩きながら、比奈はすぐに近くで一人暮らしをするみなみに電話をした。
ある程度の状況を聞いたみなみは、快く比奈を迎え入れた。
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