第1章 プロローグ

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武村紀子。 彼女は画廊とアロマショップを経営する株式会社le vant(ル・ヴァン)の社長で、しかもイラストレーターでもある。 貸ビルもいくつか持っているとの噂もある。 私たちの芸大の「とある先輩」だ。 もう40は過ぎているので、在学中の知り合いじゃないが、彼女がうちの店の常連になって知り合った。 彼女の店は素晴らしいスタッフを集めている。 そのスタッフ達もたまに来るので、彼女達を見れば、人を見る目があるのがよくわかる。 紀子さんは、たまに男性と二人で来る。 その男性は話し方から年下らしい。 いい雰囲気に見えるが、彼氏なのか違うのか、この私にも判断が付かない。 紀子さんは未だに独身だ。 その美貌とスタイルと頭の良さが、釣り合う男性を限定してしまうかもしれないが、本人は恋愛に焦った雰囲気は一切無い。 余裕のある人は、人を惹きつけるらしい。 そういう私も、彼女の生き方に魅せられているのかもしれない。 もちろん、紀子さんがその男性と来ることは彼女のスタッフには言わない。 暗黙の了解のような感じ。 由梨でさえ、そういったことにはするどい。 人を見てないようで、実は私よりも観察しているかもしれない。 だから、日頃ぽや~んとしたり、ぶりっ娘してても信頼が置ける。 (自分の部屋の観察もしなさいよ……とは思うが)  
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