3585人が本棚に入れています
本棚に追加
/2979ページ
新曲をカーステレオにかけて聴き続けていたが、気が付くと、いつものパーキングに着いていた。
時計を見ると3時45分だった。
貸しスタジオに入ると、既に幸代ちゃんと雪奈ちゃんが待っていた。
「ども」
二人の声がハモる。
「こんちわ」
「ども~」
私たちも手を挙げて挨拶する。
「今日は新曲演るよ」
「そうなんですか?」
幸代ちゃんが「おお!」という顔をする。
「任せてください」
雪奈ちゃんが親指を立てる。
「うん、任せた」
由梨が彼女たちに楽譜を渡す。
「いつものようにデモ流すけど、とりあえず見てて~」
「はあい」
やっぱり返事がハモる。
そんな返事を聞くのは意外と気持ちがいい。
時間の5分前になって、前のバンドがスタジオから出てきた。
「あ、Y'sさん!お久しぶりっす」
前にスリーマンライブの時に一緒に演ったことがある、クラウドという4人組のバンドだった。
「調子はどう?」
「最高っす。今日はみんなノりまくりで」
リーダーの直人君が言うと、みんながイエィ!と手を挙げる。
本当にノっているようだ。
「今度はいつ演るんすか?」
「来週の木曜よ」
「うおっ!どうしよっかな……行こうかな?チケットあります?」
「ごめん、立ち見ならOKだと思う」
元町ロフトはライブハウスとしては有名で、大きなハコだ。
それでも、テーブル席は100席しかキャパがない。
「そっかあ。さすがですね-!やっぱワンマン演るくらいだもんな」
彼らは頑張ってくださいと言って帰って行った。
最初のコメントを投稿しよう!