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彼らに手を振って見送った後、スタジオに入った。
ここのCスタジオにはドラムスとキーボードがセットされているので、持ち物は幸代ちゃんはスティックだけで、由梨にいたっては音源データのみという感じ。
由梨はさっそくDAPをスタジオ内のデッキに繋いで曲を流した。
Y'sのスタイルはいわゆるJポップ。
今度の新曲はアップテンポの曲だ。
山元姉妹はバンドスコアを見ながら集中して聴いている。
曲が終わった。
「じゃあ、今度は私がヴォーカルを入れるね」
私が言うと、二人ともうなずいた。
由梨がもう一度PLAYを押す。
流れ出した曲に私はマイクを通して声を乗せた。
ここに来るまでの道中もずっと車の中で聴いてきた。
元々自分で書いた詞だし、由梨のメロディの意味も手に取るようにわかる。
すっかり自分のモノにした気がしている。
歌い方をこの辺はこうしよう、ああしようとかも既に、車の中で由梨と検討済み。
2度目のデモが終わった。
「しまった……」
「つい聴き惚れてしまった」
幸代ちゃんと雪奈ちゃんが顔を見合わせて言った。
「そう?」
「それはうれしいわね」
「やっぱり結衣さんのヴォーカルと由梨さんの曲、最高」
幸代ちゃんの台詞に雪奈ちゃんがうなずいている。
「じゃあ、もう一回流す?」
「はい!お願いします」
「もう一回聴きたい!」
そう言う山元姉妹だった。
「ちゃんと自分の演奏を頭に入れて聴いてよね?」
私は苦笑した。
3度目のデモはちゃんと、自分たちの演奏のパートを確認したようだ。
「じゃあ、1回目の合わせ行くよ!」
「はーい!」
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