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山元姉妹がハモり、由梨がうなずく。
幸代ちゃんがスティックを鳴らす。
出だしはいきなり息ぴったりだった。
さすがね。
途中、ちょっと雪奈ちゃんが難しいコード進行のところでひっかかったけど、何とか最後まで合わせられた。
「二人ともさすがだね……」
由梨がため息を漏らす。
「ちょっと間違えちゃった」
「あそこは一番難しいもの。ひっかかった程度なんてさすがよ」
私もため息を漏らしながら言った。
雪奈ちゃんがペロッと舌を出したけど、普通、1回目の演奏で最後まで行くこと自体がすごいと思う。
「そういう結衣さんは練習済みですか?」
「ううん。私も演奏1回目」
山元姉妹もため息を漏らした。
私たちは1回目の演奏では、ほぼデモどおりの演奏だったが、2回目はそれぞれ個性を加えた演奏になってきた。
もちろん、それを止めたりしない。
既に、4人の個性が乗ってこそ、Y'sの個性になっている。
曲を作った由梨もその個性の出し方は各人に任せている。
各パートの演奏が固まるまで繰り返し演奏した。
それでもみんなは10回ほどの演奏で手応えを感じたようで、終わった時の見合わせた表情がそれを物語っていた。
私も由梨を見た。
彼女もうなずく。
「じゃあ、これでもうY'sの曲ね」
「はい!」
「じゃあ、あと2時間だからライブの演奏順に1回流すわよ」
私の言葉を合図に、幸代ちゃんがスティックを鳴らした。
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