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練習が終了し、私たちはしばらくロビーの椅子で心地よい疲れに身を任せていた。
「みんな、いい顔してるね」
貸しスタジオのオーナーがカウンターから声をかけてきた。
「いつもお世話になってま~す」
由梨がぶりっ娘笑顔で答える。
「いやいや」
40過ぎてもロングの茶髪が似合うアロハを着たオーナーは、照れながら頭をかいた。
彼も由梨のファンだ。
「今度はいつの木曜だい?」
「そうですね。また来月の3週目の4時から3時間。空いてます?」
私はみんなの顔を見ながら言った。
問題ないようだ。
「もちろん。木曜は基本的に君たちの予定が入るまで空けてるからさ」
「オーナー、ありがとうございます~」
由梨が言うと、オーナーはまた「いやいや」と頭をかいた。
「じゃあ、今日はなんか冷たいのを飲みたいから、うちで食事にしよう」
私が言うとみんなは「はあい」と立ち上がった。
うちの車に乗り込んで、珈琲屋に帰り着くと、私と幸代ちゃんで料理を用意した。
由梨と雪奈ちゃんは料理は苦手だ。
幸代ちゃんはバー勤務だけあって、料理もお酒も、もちろんカクテルは最も得意だ。
メインを私が用意して、幸代ちゃんがつまみっぽいのを作った。
準備を手伝った後、由梨と雪奈ちゃんは料理ができるのをテラスで夜景を見ながら待っていた。
「はあーい、お待たせー、できたよー」
二人を呼ぶと、テラスから料理を取りに来た。
4人で料理やビールを運ぶと、夜景の光が写り込むグラスで乾杯をした。
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