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いつもと変わらない日常が過ぎて、ライブの日になった。
今日は6時半オープンの7時スタートだ。
4時からリハだった。
演奏的にはあまり必要ないが、ライティングとか各パートの音量合わせは必要だ。
スタッフの健輔君、祐太郎君、瞳ちゃんとはもう長い付き合いなので、それもあまり時間はかからない。
ただ、新曲のライティングはちょっと試行錯誤した。
それも決まったところで、開演までのんびりとお茶にすることにした。
「新曲、いいですねー」
「うん。オレもそう思う」
「あたし、踊りたくなっちゃいました」
健輔君達がちょっと興奮気味に言った。
ちょっとスタッフ以上の気持ちが入っている。
彼らもほとんどY'sのファンだ。
「ありがと」
「オレらいつもY'sのライブ聴けて幸せですよ」
「そうそう。こんなバイト辞められないよ」
「でも、健輔君はもう4年だよね?就職は?」
私は咽に良いハーブティを飲みながら言った。
「ええ、研究室に残ることにしました」
「へえ、何学部だっけ~?」
由梨は紅茶を飲みながら聞いた。
「理工学部。電子生命学ですよ」
「あ、そっか。教授は瀬谷さんだったね~」
「ええ。まだ准教授ですけど、その人の下での研究が面白くて」
「そっか~」
電子生命学……
そうだった。
以前、瀬谷さんに延々と説明を受けた記憶が…
うう、ちょっと思い出したくないわ。
ただ、その先生の奥さんは知り合いなのよね。
「それで、ここは続けられるの?」
「はい。それもあって、かな?」
「良かった。私、健輔君けっこうお気に入りなの」
雪奈ちゃんが珈琲を飲みながら言った。
「あ……ありがとうございます」
ちょっと顔を赤らめている健輔君だった。
まだ恋愛には不慣れなのね。
「私もだよ」
幸代ちゃんが両手で持った日本茶を一口飲んだ後、下向きでちょっと挑戦的に言った。
う゛っ……幸代ちゃんと雪奈ちゃんの間にちょっと火花飛んでる……
「えっと、皆さん飲み物のお代わりいりませんか?オレ入れてきます」
当の健輔君は逃げ出した。
祐太郎君と瞳ちゃんは付き合っているので、知らんぷりだ。
演奏に影響しなければいいけど……
私と由梨は顔を見合わせて苦笑した。
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