第5章 ライブの夜

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時間になって、会場の照明が暗くなった。 「さあ、行こうか」 私の言葉に、みんながうなずいた。 みんな、いい顔だ。 ステージの各ポジションに散る。 私も自分のポジションにつき、ギターのストラップに頭を通す。 肩にかかる重さが気持ちいい。 チューニングを確認する。 ……OK。 今回の私達のファッションテーマは「スーツ」 私と由梨はスカートで、山元姉妹はスラックスタイプ。 私と幸代ちゃんは腕まくりして、さらに私は光平君のブレスレットしてるけど、基本はダーク系のスーツでビシッとね。 前回はカントリー系だった。 私達は演るごとにファッションのテーマを変える。 そこは、私達の遊び。 ファンの何人かに聞いたけど、意外と楽しみにしてるらしい。 みんなもチューニングが終わったようだ。 みんなが私を見る。 私も笑顔で答えて、健輔君達を見る。 健輔君がOKサインをした。 幸代ちゃんに合図する。 スティックの音。 音と同時にステージはまばゆい光に包まれた。 歓声が上がる。 この瞬間が好き! 咽の調子も最高! 高音がいつにもまして伸びていく。 あっという間に最初の曲が終わった。 拍手喝采と歓声の中、私は叫んだ。 「Y'sです!今日は楽しんで!」 また歓声が上がる。 すぐに次の曲へ。 私たちはあまりMCをやらない。 一気に演奏だけで行く。 3曲目の時、ライティングが客席をぐるぐると回った。 そのライティングの中に光平君がいるのを見つけた。 来てくれてたんだ…… 私のテンションが上がった。 由梨がすぐに気付いたようだ。 視線が合ったら、その口が「よかったね」と動いた。 私はふっと笑って間奏の後のサビを歌った。 最後の盛り上がりの連チャンの前が新曲だった。 「次は新曲!destiny!」 みんなノっていた。 見事、間違えずに演りきった。 観客の反応もいいようだ。 Y'sの曲として認識されたかな。 次の曲から、盛り上がるナンバー4曲で一気にラストまで行った。 歓声が止まない中、私達はステージの前に並んで、私が叫ぶ。 「Y'sでした!ありがとう!」 みんなで手を繋いで頭を下げる。 そしてフィナーレを終えて、手を振りながら控え室に戻った。  
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