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ゆっくりと去っていく二人の男の姿が見えなくなった頃、ルルはポツリと言ってきた。
「オレ……思い出したよ。」
「……何を?」
「オレがこの地上に来た目的……。」
ルルは月を見上げながら、話を続けた。
「オレは国の図書館で、言い伝えを調べていたんだ。でもオレは、その言い伝え通り、今も同じ状況だとは信じられなかった……。」
ルルは月にむかって、手を伸ばした。
「……サフィは知ってるか?地上と月を繋ぐ、唯一の道のこと。」
「知ってるよ。月の道(ムーンロード)。人間と獣人族が対立する時に閉じられた道のことね?」
ルルはコクリと頷いた。
「オレは……本当のことを確かめたくて、みんなの反対を押し切り、封印された月の道を……自分の魔力を使って、無理矢理こじ開けたんだ。」
「じゃあルルがあそこに倒れてたのは……。」
「そう。あそこが月の道のある場所だったからだよ……。」
「私も行ってみたいな……。ルルの生まれた国に。」
「今は無理だけど、いつかきっと、ね……。」
「それにはまず、国に帰る方法を見つけないとね!」
「……オレ、約束する。昔と同じように人間と獣人たちが共存する世界にする。今の人間たちとなら……不可能じゃないと思うから。」
『ルル』としてではなく、『ルルナリアス』としての決意を固めた。
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