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「………マオ。」
そう呼ばれた白猫は、カウンターに軽々と登り、ルルの目の前に立った。
「さぁ王子。私とともに国へ帰りましょう。」
その言葉に驚いて、サフィニアが二人の間にわって入った。
「あのっ。国へ帰りましょうって、ルルが国に帰れる方法があるんですか!?」
「……私は王子を連れて帰る為にここに来たのですから、方法があるのは当然のこと。」
白猫はサフィニアをチラリと見て、シッポをパタパタと振りながら、冷たい口調でそう言った。
「………オレは。父の命令に従って帰る気はないよ、マオ。」
「それはまた……なぜですか?ルル様。」
ポツリと言ってきたルルの声に白猫は振りかえり、彼の発言に驚きもせず、その先を促した。
「地上の人間たちは、今もこの地に残ってる獣人族と共存の道を歩みはじめてる。言い伝えとは違うことを
、オレは知った。」
ルルは片手のこぶしを強く握りしめた。
「だから―――。」
「アークス陛下を説得する。違いますか?」
ルルの言葉をさえぎり、白猫がそう言った。
「マオ……おまえ。」
「実は私、少し前から地上には月の道を使って行き来していたのです。ルル様と同じ目的でね。」
白猫はニコリと笑って、手を差し伸べた。
「行きましょう、ルル様。世界を再び、共存の道をゆく世界にする為に。」
ルルは白猫の小さな手をとった。
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