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――バンッ!!
その時、突然扉が開く音がして、ルルは体をビクリとさせた。その様子を見ていたサフィニアはクスリと小さく笑って、部屋を出ていった。
扉のむこうでサフィニアと客が、何やら楽しそうに話しているのが聞こえてきた。
ルルはふぅとため息をついて、窓に映る自分の姿を見つめた。
自分には猫のような耳がある。でも、サフィニアにはそれはない…。彼とサフィニアは、お互い違う種族だった。
ルルは獣人族、サフィニアは人間。
しかし違うとはいっても、外見や体力の高さ以外は同じヒトなのだ。しかしそれを昔の人間は意識し、差別した。同じヒトとして共存してきた彼らの関係は崩れ去り、獣人族は地上を捨て、故郷に帰ったのだ。その時からお互いの交流は全くないまま、月日が流れていったのだ。
そんな言い伝えの事を思い出したルルは、ふとさっきの彼女の反応に疑問を覚えた。
「――あいつ。オレを見て笑ってた?」
お互い忌み嫌ってきた存在であるはずなのに、サフィニアは獣人族である彼に……無邪気に笑って話しかけてくれたのだ。
人間は自分達を同じヒトとして見てくれないと教えられていたルルには……とても信じられない事だった。
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