プロローグ

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         *  夏が終わり、秋風が吹き、様々な事が許される秋が来る。いや、来た。  事実制服も夏服を終えてブレザーを着込む人が増え始めた。  そんな秋口でも私立明名(みょうめい)高等学校の風当たりはどんどん強くなり、未だに障害事件がある度に火野千奈(ひのちな)や、人見幸平(ひとみこうへい)が見え隠れする。勿論名前はでないが、名高の生徒ならば分かるのだ。  そんな中、来年度の入学数ががた落ちになることを恐れた学校側は私立ならではの方法で対策をとり始める。子供にはよく分からないお金に関するやり方だ。  様々な意味合いで一躍有名になった私立明名高等学校では「難虫」という不思議なトラブルシューターが存在する。と言っても他校の生徒にまでは有名ではないが。  「難虫」。それは、ある男子生徒によると、本の虫から来ているらしく、「難事を好む人」のことで、難の虫、「難虫」となった。  その難虫は名高の伝統で、歴代難虫が六人存在する。現難虫は草木莉夜(くさきりや)という天才的頭脳と、非道を道とする三年生だ。  次の難虫と言われているのが(皆難虫と認識しているのはこっちだが)、「Mr.聾の早耳」月村未城(つきむらみき)だ。  月村は、まさしく本の虫で、偏屈で近寄り難い事でも有名な二年生だ。  もう一つ月村に関して有名なのが、長い茶髪を靡かせて女子を虜にする。ということだ。  とは口が裂けなきゃ言えることではない。  やはり、人間中身といったところなのだろうか。確かにイケメンなのだが、先程言ったように、「偏屈」なのだ。しかも相手を思う気持ちがまったくないらしく人を小馬鹿にする。空気が読めないのもいいとこだ(こんなことを説明しているとうるせぇよ、と罵倒が飛んできそうだ)。
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