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背中ごしにでも分かる担任の女教師の声。
きっとこの担任は今、腰に両手を添えて何の変てつもない安っぽい眼鏡をかけて、俺の背中を見ているのだろう。
少し高慢な雰囲気を漂わせるその格好を、俺がこの顔で振り向いたらどのくらい壊せるのだろうか。
考えただけでニヤつく顔を必死で抑えこんでいたら、「すみません」と何故か目の前の三上が謝った。
「俺が手をすべらせて坂本の顔に黒板消しを当ててしまったんです。少しチョークの粉が付いているので、顔を洗いに行かせて下さい」
思わず一歩後ずさるほどの満面の笑み。
黒板消しを顔に当てたことがそんなに嬉しい話なのか。
その上絵本の熊のようになっている俺の口元を見て『少しチョークの粉が付いている』だって?
少しの意味分かってないだろ、お前。
やはりわざとやったに違いない。
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