1.俺に何か恨みでも

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  「ええ、いいわよ」  もんもんと三上を睨みつけていると、背後から気分の悪い声が聞こえた。 見た目で差別をするという担任の理不尽さには慣れてきた方だが、こいつに対する偏見だけはいつになっても受け入れられない。 普段より高くなったその声に鳥肌が立つ。 そんな俺に三上は持っていたタオルをかぶせると、腕を引っ張って教室を出た。  教室からしばらく歩いたところで俺はタオルを頭から取ると、引っ張られたせいで前かがみになっている体を起こして歩いた。  ホームルームを始める先生たちの声が響く廊下。 人気のないそこを二人が歩く。  …………俺らってもしかして……遠くから見たら手繋いで歩いてるように見える?  ふと浮かんだ疑問に、急に今の状態が恥ずかしくなり、俺はいつになったら解放されるのかと三上に声をかけた。
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