1.俺に何か恨みでも

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   ―― 一月。  今年――と言っても数日間しかたっていないが、一番の寒さだと報じられている今日。 今朝見てきた新聞のお天気欄の通り、午後からは雪がちらついている。 雪はやむことなく降り続き、夕方になったこの時間でも勢いに衰えはない。  もう十数センチは積もっただろうか。  それでも外部活はやっているらしい。 静まりかえった校舎。 雪のおかげで静けさは増し、聞こえるのは吹奏楽部が出すかすかな音色のみ。  そんな校舎の二階。 職員室から二つ進んだ部屋には電気がついている。  職員室の窓の倍は結露しているだろう、その部屋の様子から、そこにいる人物がどれほど地球に対して優しくないかがうかがえる。 「う~ん……。難問だ」  最大火力に設定されたストーブのおかげで、春の陽気と同じくらい暖められたその部屋では、今、一人の人間が唸りをあげた。
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