1.俺に何か恨みでも

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 睨みつけるように、周りに一視もよこさず見つめる先には茶色い木箱。  どのくらい長い間放置され続けたのかと目を見張るほど風化した表面。 色あせたその六つの表面の一つには細長い長方形の穴が開いていて、その穴の下には、これまた色あせた赤と思われるもので「生徒会ポスト」と記入されている。 当たり前だがこの文字は手書きだ。  以前は一体何に使われていたのか……。  今はもう、ただの置物と化している。 「処分しておいてって……。捨てちゃダメなのかな? これ……」  それなりに長い時間、この人物は例のボロボロな生徒会ポストとにらめっこをしていたらしい。 進展のないこの状況に打開策として“捨てる”という選択肢を作ってみる。  しかしこの選択肢は最終手段。 なぜならこのポストの行く末を頼んだ奴から反発を食らうからだ。  生徒会の重役である「執行部」の中で、生徒会長を押し退け陰で“最高権力者”として君臨している人物からの反発は絶対に食らいたくない。  
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