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全速力で走り去り、瑠璃がたどり着いたのは、何故か屋上で一息付いていた。
「はぁ……恥ずかしかった」
この調子じゃきっとクラスの人にも聞かれてる。
どうしよう……帰りたくないな。
「こんな所に何の用か?」
「え?」
前方に視線を寄せると、そこにいるのは一人の男子生徒。
身長は少し高めで、私から見たらそびえ立つ壁みたいに大きく感じる。
「すーちゃん?」
「何処の小学生かと思ったら瑠璃か。
お前が一人でこんな所に来るなんて珍しい事もあるもんだ」
「もう……誰が小学生なのよ」
「誰がどう見たってそれにしか見えないだろ。
一人でいて、下級生にでも見つかったら勘違いされるぞ……」
「うぅ……いいもん、もう慣れたから」
少しだけ気を落ち込ませ、俯き加減になって瑠璃は話す。
事実、今年入って来た新入生に何回「この子可愛い!」「何処から来たの?」とか散々言われまくりだった。
あっ、そこの君。
今『あず○んが大王』を思い出したなんて考えたら負けだぜ。
「そうだった、今さっきお前に用事が出来たんだった」
「え、何?」
昴は瑠璃の正面へと近づき、およそ50センチ手前で歩みを止める。
「お前に話さないと行けないことがあるんだ……」
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