見知らぬ手紙。

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想像力豊かな頭の中で、破局の図式が組み立てられた。 唐突に、頭の中でネガに反転した裸電球が灯る。 確かレターセットがあったはず…。別の誰かが引き出しを引っかきまわし始めた。 アレ? ナニヤッテルノ? ヤメナヨ! 俯瞰で眺める理性はブレーキにならず、自分でも理解出来ない暴挙に走ってしまった。 愛用している万年筆のフタを抜いて、見ず知らずの彼へ宛てた手紙を書き始める。 浮気オトコをこらしめたいイタズラ心なのか。 アイツの幸福を見せつけられた腹いせなのか。 意味不明。 救いがない。 訳のわからない感情に支配されて、スラスラとペン先が走る。 「私も貴方に会いたかった…。」
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