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そして今、彼の隣には…。
アタシ達が別れた元凶。
何処にでもいる普通のオンナじゃないか…。
「他に好きなヤツが出来た。」
アイツの低音で冷酷な宣告が蘇る。
少しアルコールが入ってるね。何だか楽しそう。
上機嫌な二人の会話が、雑音をすり抜けてアタシの耳に届く。
いい笑顔をするなぁ…。
アタシは、彼の眉間の皺しか知らない。
あんな風に笑える人だったんだ。
もう其処に居場所はないんだな…と実感がわいてくる。
彼の何を知っていたんだろう。
何を見ていたんだろう。
もう帰る場所は…ない。
アノコが掴んだ幸福より、あの時のアタシはささやかなPRIDEを選んだ。
彼の包容力にすがるオンナにはなりたくなかった。
すべてに対等でありたかったんだ。
次の駅に到着すると…アタシの存在に気付かないまま、アイツは人混みの中へ消えていった。
人前で手を繋ぐようなオトコじゃなかったのにな。
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