プロローグ

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冬の寒い風が吹き抜ける夜だった。 深い森林に囲まれ、夜の闇を色濃く見せるここに佇む建物がある。 それは美しい花畑の中で一輪だけ枯れ、調和を乱しているようでいて、コーヒーの中に垂らしたミルクの様に最初は馴染まないはずが、いつの間にかそれが自然であるように溶けあい、交じり合っている様にも見える。 ある一日。 今日も厚い雲に覆われ月も一切見えることもなく、静かな夜をただいつものように終えようとしていた。 そこに恐慌をきたす声が聞こえなければ、この夜は次の日の朝を何事もなく迎えていくはずであった。 ,
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