2章 覚醒は不意に

29/30
前へ
/1427ページ
次へ
「この学校の屋上は、珍しいんだよ?」  そういう茜の言う通り、ここの学校の屋上は、少し変わっている。  ここの理事長の趣味なのか、屋上なのに生徒の出入り自由で、何より、ガーデニングガーデンの様に花壇が設置され、生徒たちの意外な憩いの場として、機能を果していた。 「ここの花、結構綺麗なの多いもんね?」  赤白と咲き誇る花に触れながら話す茜に、里佳と香苗も座り込み談笑して、特に興味もなさそうなポチ……、もとい大地は、欠伸を噛み殺し、近くにあるベンチへと、向かっていった。 妙な違和感がある。  そう、案内するといってここに連れて来たはずなのに、茜も里佳も香苗も大地でさえ、紫苑に話しかけようともしないのだ。 ,
/1427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

989人が本棚に入れています
本棚に追加