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あの言葉の後に、感じていた違和感もなくなり、みんなの態度も、屋上に来る前に戻っていた。
あの瞬間。
感じていたのは、そこに自分が本当にいるのかどうかもわからない虚無感……、というか疎外感だろうか?
ここに俺はいるぞ、と話しかけても、気づいてくれないのではないだろうかと思うほどの、自分という存在の曖昧さに、俺は意味のわからない鳥肌が、腕に浮かんでいた。
おかしくなりそうだった頭の中身を、考えの隅に追いやるかのように、振った後。
翔は、ただ紫苑の事しか、見てはいなかった。
楽しそうに会話をする茜たちと一緒に、ただ聞いているだけの紫苑。
さっきの事が嘘だったかのように思う。
いや、思いたいだけなのだろうか……。
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