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ドアが開いているそこを覗き込めば一心不乱に木槌を振るう玲志の姿があった。
自分よりも大きな木材に向かって何度も木槌を降り下ろす玲志の真剣な表情に惹き付けられる。
仁は音を立てないようにドアに寄り掛かると玲志の横顔を黙って見詰めた。
笑ってる顔も可愛いけどこんな風に一生懸命になってる顔も可愛いと思い僅かに頬を染める。
好きだと自覚してから益々、玲志の事が愛しくて堪らない。
前は何とも思わなかったのに今は玲志が傍に居ないと寂しいと感じ時々、玲志の事が無性に恋しくなる時があった。
仁は玲志が一息付いたのを確認してからドアを遠慮気味にノックする。
「...玲志」
「あ...仁....」
向けられる柔らかい笑顔に「邪魔してもいいかな?」と小さく笑う。
「あ、うん...平気...」
そう言って小さく笑いシャツの袖で流れた汗を拭う。
仁は静かに歩み寄ると玲志の隣に立ち目の前に聳え立つ木材を見上げた。
まだ荒削りで歪な形をしていたが、只の真っ直ぐな丸太から繊細な物を生み出す玲志を凄いと思う。
「今回は何を創るんだ?」
「ぇっとね....内緒...」
玲志はそう言って小さく笑うと可愛らしく指を一本、唇に当てた。
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