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「そうだ玲志。コレ、一緒に食べよう?」
仁はすっかり忘れていた紙袋の存在を思い出し、それをひょいと上げて見せた。
「ぇ...?でもそれって仁の夜食でしょ?」
「玲志と一緒に食べようと思って買ってきたんだ。何も食べてないだろ?」
問い掛けに玲志は小さく頷く。
その頷きに仁は「だと思った」とからかい混じりに零した。
「何か食べないと風邪、引くぞ」
「...ぅ、ぅん」
何処か照れ臭そうにしている玲志の手を握り「おいで」と部屋の隅の方へ移動する。
後ろから付いてくる頼りない足音を聞きながら仁はゆっくり歩いた。
床に腰を下ろすと紙袋を自分と玲志の間に置く。中からサーモマグを二つ取り出すと一つを玲志にそっと手渡した。
「...ありがとう」
玲志はそれを大事そうに両手で受け取る。飲み口を開ければ、ふわりと湯気が昇った。
「熱いから気を付けてな?」
「ぅん」
「あ...中、カプチーノなんだけど...嫌いじゃなかったか?」
「ぅうん...嫌いじゃない」
「そっか、良かった...」
仁はホッとして嬉しそうに小さく笑った。
そして「ホットサンドは色々あるけど何がいい?」と玲志に買ってきた物を言い問い掛ける。
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