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玲志は小さく首を傾げ「ぇと...」と考える素振りを見せる。あまり食べた事がなく、よく分からなかった。
「...仁のお薦め」
「お薦めはコレ」
悩むと玲志はいつも「仁のお薦め」で返してくる。「お薦めは?」という問い掛けではなく言い切る処が何だか可愛かった。
仁は自分のお気に入りのホットサンドを玲志にそっと手渡し「一番、美味い」と絶賛する。
「ありがとう」と言って受け取った玲志は慣れない手つきで包装紙をそっと外した。そして妙にドキドキと鼓動を高鳴らせながら一口、齧る。
仁は玲志の喉仏が上下し嚥下したのを確認してから「どう?」と恐る恐る問い掛けた。
「美味しい」
頬をうっすらと赤く染め無邪気な可愛い笑顔を見せる玲志に仁は嬉しそうに笑い「良かった」と零す。
「今度、食べに行く?出来立て、もっと美味いよ」
「...行く」
返ってくる無邪気な笑顔に仁は頬を染め、つられるように小さく笑う。
笑った顔が可愛くて奥で何かが疼く。仁は腕を伸ばすと玲志の頬にそっと触れ静かに唇を重ねた。
形をなぞるように何度もキスをして僅かに湿った音をさせ離れる。
見下ろせば玲志は耳まで真っ赤にして今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。
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