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暖炉の上には両側には天使が付いた綺麗な棚の上には、大きな肖像画の油絵がある。
その上には2つの弾丸に撃ち抜かれたものか、さもなくば蛾の幼虫が食べた跡のような穴が開いた騎兵隊の小旗がガラスの枠に掛かるように納められていた。
その油絵には、堅い姿勢で、メキシコ戦争の連隊の指揮官が描かれていた。
指揮官は、君主のようなきちんと整えられた黒い髭を生やし、石炭のように黒く熱く情熱的な目の持ち主は、巧みに人生を渡って来たといった表情をしていた。
思うにこの絵はスターンウッド会長の祖父だろう。
スターンウッド会長自身大変厳しい状態に置かれているようだ。
私の聞いた話では、病気が進み、二人の娘はまだ危険な年頃で20代だという。
私は、まだ肖像画の燃えるような黒い瞳を見つめていた。
すると後ろにある階段の下のドアが開いた。
執事が来たのではなかった。
そこには女の子が立っていた。
彼女は、20前後だろう。小さくて華奢な体をしている。
しかし丈夫そうに見えた。
淡いブルーのスラックスを履き、実にそれらが似合っている。
まるで浮かんでいるかのような歩き方だ。
彼女の髪は、ウエーブがかかった黄褐色をして、最近のファション紙にあるような毛先を肩のところで巻いたものよりも更に短かった。
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