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私達はフランス製のドアを抜けガレージから芝の脇を通り、遠くまで続いた赤い石が敷かれた小道を進んだ。 少年の顔立ちをしたお抱え運転手が、大きな光沢のある茶色のセダンを車庫から出し、埃を払い落としていた。 小道は温室の脇に沿って伸びている。そして執事は脇に体を寄せると、温室のドアを私のために開けた。 それは中に入る控えの間のドアだった。ゆったりとしたオーブンのように熱が伝わって来た。 私の後に執事が続いた。ドアを閉めると、前に回り内側のドアを開け、中に入った。 そこからは本当に暑くなった。空気は厚く湿り蒸せていて、ラードを塗ったうんざりするような熱帯の蘭の薫りがする。 ガラスで出来た天井と壁は凄い湿気で水滴が付いていた。 大きな滴が落ちて来て、植物の上で弾ける。 灯は非現実的なぐらい緑色が掛かっていて、まるで水槽からフィルターを通したような灯だった。 植物で溢れ返り、いやらしい肉厚の葉や最近洗われた死人ような指のような茎が覆い茂り、まるで全体が森と化していた。 それらは、まるで毛布の下で沸騰させたアルコールのような匂いのようにこちらを圧倒する。 執事は私が通る際に、びしょ濡れの葉っぱに顔を打つことがないように最大限の注意を払っていた。
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