《遺書・遺詠-壱-》

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[清水保三…23歳]  清子殿  兄は特別攻撃隊員として太平洋の防波堤になるために征くことになった。  今まで少しも兄らしい事もせず許してくれ。  強く優しいそして朗らかにお母さんや姉さんの教を良く守って兄さんの分まで孝養をつくしてくれ。  兄は常に大空より清子を守っている。  躰(からだ)の丈夫なのが何よりの孝行だ。病気にならない様にくれぐれも注意せよ。  桜咲く春には九段に居る。  勉強をおこたるなよ。  さようなら  三月二十七日  兄より  唯一人の妹に 清水保三少尉(滋賀県) 第23振武隊 昭和20年4月3日戦死
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