《遺書・遺詠-壱-》

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[竹田源三…20歳]  おばあさん  永い間御世話に相成りました。  一方ならぬ御厚情厚く御礼申上げます。  十三時頃訪問致しましたが御わかりですか?  屋根に上がって赤い布や白い布を振って居るのが“はっきり”見えました。二階から振って居るのがたしかおばあさんだったでしょう。  いよいよ出発です。“キット”敵艦を轟沈せしめて見せます。  隊長殿より離れて悲哀に暮れて居る自分を良く励まし下され本当に力強く有難う御座いました。追っても追いつかざる隊長殿を慕いて後馳せながら唯一筋に大君の御楯として悠久の大義に生きるのみです。  どうか元気で自分達の分まで長生きして下さい。  先ずは色々と有難う御座いました。         竹田 源三  緒方のおばあさんへ    皆々 様      五時頃上を通ります。 竹田源三少尉(北海道) 第432振武隊 昭和20年5月28日戦死
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