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50km/hキープで、湧一は夜の川神峠を上る、少しずつ、どこのポイントでどの位アクセルを踏み込めばいいか分かって来た。まだスピードメーターはグラグラ動くが、50km/hの目盛りの上しか針が通らない。
『かなり上手になっちょるなァ。コイツァ、もしかしたら、才能あっかもねェ』
と涼が思う。そして、トンネルの手前の路肩に、車を一時停める。
「よーし。もう、一般車もまばらになってきたし、本格的な練習始めっどかいね」
「ついに、ドリフト!?」
「バーカ。だから、っただろ? お前には、まだ早いって 」
「何だ……」
「まずは、アウト・イン・アウトとか、とりあえずグリップの基本技からいっど」
「アウト・イン・アウト?」
「簡単に言うと、アウトから コーナーに侵入して、インを突いて、また、アウトから、立ち上がるコーナリングの事さ。まァ、言っちゃえば、出来るだけ直線的なラインを取って、より高速で コーナーを抜けましょうって事。今回は、一般車居なければ、特に車線は気にしなくていいから」
「……まァ、微妙に分かんないけど、頑張りマス」
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