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「斎藤っているだろ。同じクラスで」
「えっ?いたっけ?」
「いるんだよ」
もちろんその場しのぎのでっちあげである。実際斎藤なんていない……と思う。
「そいつがさ、結構女たらしだからお前のこと心配したんだよ」
「えっ……」
志保は驚くほど顔が赤くなった。そして
「あ、ありがとう」
と、小さな声で呟いた。なんか妙に恥ずかしくなってきた。しかも志保の真っ赤になった顔を見ているとドキドキしてきて……
オレは何か話さなきゃと思い、最悪のことを口にした。
「で、でも大丈夫だろ」
「何で?」
爆弾爆発まで二秒前。
「だって志保は男にも負けない超暴力女じゃん」
「暴りょ……!」
その瞬間志保の半径五メーターの雰囲気が変わった。こ、これは殺気?
「覚悟しなさい…」
ああ、これは鬼なんてもんじゃない。修羅だ。とんでもない破壊神だ!
そんなんにかなうはずもなく、ズルズルと体育館裏に引っ張られていった……。
その日始業式に欠席が二人いて、外から断末魔の叫びが聞こえたことは七不思議の一つになった。
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