566人が本棚に入れています
本棚に追加
何で自分はこんなにツイてないんだろうと思い、梨歩はさらに落ち込んだ。
……何と言っても、これから一年間、藤宮雪と一緒にクラス委員をやらないといけないのだ。
深く深く溜息をついて、梨歩は自分の長く、くせっ毛な黒髪を指でくるくると巻いた。大抵は無意識の内だが、これは梨歩が落ち込んだときにする仕草だ。
……サラサラのストレートが憧れなのは、言うまでもないことだけれども。
どうにもならない現実を思って、梨歩は今度は小さく、溜息を一つついた。
……客観的に見れば、藤宮雪は、『性格以外』は完璧な人だ。
梨歩からしてみれば何とも羨ましいさらさらの黒い髪、白い肌に、綺麗に整った顔はどこか品があって女子からの人気も高いらしい、身長は特に高い訳でもないけれど、細身な体格に見合った高さはある。
その上、学年トップは確実、全国模試でも常に一位だという噂が真しやかに語られるほどの秀才で、その上運動も出来るというのだから、まるで少女漫画の登場人物のようだ。
……しかし、そこは現実だったようで、彼にはそれを相殺、いや、マイナスにしてしまうほどの性格上の大問題がある。
.
最初のコメントを投稿しよう!