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物憂げに片腕を頭に添わせ、露わになった脇から腰、腿に向かう一筋のなめらかな肌。
多分、下着は何も身につけていない。
ポイントに施された銀糸の手刺繍が、身動きするたびに揺れる。
部屋の明かりは消えているのに、朝の薄闇の中、夕子姉さんだけがぼぅっと淡く光を放っている。
(……オーラ……
嗚呼、空気まで……美に染まるってことなのね……)
「あのこと」があってから、夕子姉さんは露出度の高い服を着させてもらえない。
久しぶりに見た姉の素肌に口を開けて見惚れる……みっともない妹のあたし。
「ああ、やっぱり入りませんよ、夕子さん」
他人……夕子姉さんに付き添うことの多い純代さんの存在が、初めてあたしの目に入った。
「ああん、太っちゃったのかしらー」
無邪気な声から逃げるように、あたしは足音を立てずに扉から遠ざかった。
本当は、自分自身から一番逃げ出したいのだけれど……
いつもより熱いシャワーを頭から浴びながら、泣くのをこらえる。
(夕子姉のせいで目が赤くなるのは、絶対嫌だ)
どんなに努力したって追いつかないとわかっていて、それでも、全身に保湿クリームを塗りたくる手を止められなかった。
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