第二楽章…雨にオチル

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《杏香》 ………… 見えるか見えないかの細い雨の糸が、灰色の空にぶら下がっている。 昼休みを告げるチャイムを待ちながら 杏香は、教室の窓の外を眺めて時間をつぶしていた。 (雨の日のナミ、いつもよりイイ匂いがするんだよね////) オヤジみたいなことを考えて 四限の授業は、上の空。 ナミを想うと 見るだけで肌寒くなる風景も、色鮮やかに変化する。 鐘の音が鳴ると同時に、生徒会長とは思えぬ早さで 杏香は風組を飛び去った。 勢いよくナミのクラスのドアを開けたら、まだ授業中 ……なんて、よくある話; 今日は、授業は終わっていた。 ナミは板書を消している。 「ウィッス⌒☆」 杏香はナミに軽く挨拶し 雨のせいで混む教室に、ランチ場所をキープすべく ナミのグループトモダチと、机をくっつけ始めた。 ナミが女のコ的グループをクラスで作り、杏香がフラッと加わる。 小学生時代のいつからか、定着しているスタイルだ。 「光也ぁ~弁当くれ!」 『もぅ★ノロケるなら、二人で食べればぁ~』 杏香の毎度の弁当催促を、周りの女のコたちは、律儀に毎回冷やかす。
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