第一楽章…桜雨

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《杏香》 ………… ♪~~~ 杏香の広い子ども部屋に 着ピアノの音色が、大音量で響きわたる。 『ほいよ-☆杏香! 佐藤から、朝メール』 先に起きた光也が、寝転んだままダルそうに 杏香の携帯電話をつかんだ。 『おい、起きろ』 「Σふぇ、ナぁミぃ?」 手の中のコントローラーを、杏香は耳に当てる//// 昨日の夜、光也との格闘ゲーム中に どうやら二人とも、行き倒れたらしい。 カーテンすら閉め忘れた、全開の窓から 春の朝日が、寝起きの二人に降り注ぐ。 「Σうそっ!朝メ時間? 遅刻じゃん↓」 やっと、杏香は目が覚めた。 ベッド上の光也を蹴飛ばして だらしないスウェット上下を脱ぎ捨て あわててセーラー服に袖を通す。 鏡の前で、短い黒髪を手グシで直し 化粧もしないで子供部屋を飛び出した≡3 まだナミしか登校していないハズの、早朝の中等部に向かって 杏香は全力疾走! (花びらが口の中に入るぅ~マズい;;) 歩いても15分の学校一最短の通学路。 桜舞い散る並木道、制服のスカートをひるがえし 長身の少女が駆けていく。
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