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「よぉ/゛新学期早々、重役出勤じゃん☆」
杏香は、はあはあ息を上げて
音楽室で一人たたずむナミに、声をかけた。
窓の外を眺めていた少女が、ゆっくりと振り返る。
『もう~杏香っ★
重役出勤って使ったら、遅刻みたいでしょ?』
ナミはニッコリと、透き通った笑顔を向けた。
(うぅ////
ナミ、今日も食いつきたいくらい可愛い////
けど……ん? あれ? ナミ?)
『あたしだけ、特別に、車登校……なんて
ホントは、嫌なんだから……』
満面の笑顔とは裏腹の、弱々しいナミの言葉。
『あたしなんて……
ストーカーにあうハズないのに……ね』
桜の花びらが、一枚
ナミの体から、フワリと舞い落ちた。
(う;やっぱ、今朝のナミ……おかしい;;)
杏香は窓際のイスにまたがって座り
親友の顔を下から覗きこむ。
「ナミ、今朝……なんかあった?」
……
『ん……』
ナミはクルリと背を向ける。
『大下さんが、ね……』
「あの運転手野郎、何しやがっ……」
(アタシのナミに、ヤヴァイことでもっ!)
『夕子姉に、一瞬で……一瞬で堕ちちゃった』
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