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あきと・昴・拓也は同じ部活仲間だ。
時雨は三人の後輩。
このメンバーで遊ぶことになった理由は覚えていない。
しかし、覚えていないのだからどうせたいしたことではないだろう。
「じゃあ、あのゲームやろうぜ」
あきとがそう言って、指をさしたのはガンコン(銃の形をしたコントローラー)のゲーム。いわゆる、ガンゲーというやつだ。
特別反対するものはいないようで、そのゲーム機の元へと向かった。
そのとき、あきとは何か違和感を感じた。
なんだろう。と思ったが、その原因はすぐに分かった。
人がほとんどいないのだ。ガンゲーの隣にはプリクラ機がある。
いつもならこの場所にはたくさん人がいる。時には行列ができるほどだ。
しかし、今はあきと達と……何かの音ゲーをしている男性たちしかいない。
まぁ、そんな日もあるだろう。むしろ人がいないほうが好都合だ。
一気に二人までしかプレイできないので、初めに時雨とあきとがプレイすることになった。
「ねえ」
あきとがコインを入れようとしていたとき、拓也はあきとの肩をかるく叩いた。
「なにさ」
拓也は無言で、音ゲーを指さした。
そこでは、二人の男がゲームをしていた。
ゲームをしている所為で、顔は見えなかったが、後姿であきとは判断した。
少しだけはねた髪、後ろ髪を撫で付けるしぐさ、男子にしては色白、メガネ。そして、高い身長。
絶対に、あきとが見間違えることなどない後姿。
一人は、柊流夏(ひいらぎるか)だった。
もう一人はあきとは中学で顔しか見たことのない男子で、名前すら知らなかった。
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