ある女のささいな復讐

証人

こんな朝食は久しぶりだった。

普段は朝食は食べる事がないから、リリカは簡単なものと言ったが、僕にとってはとても嬉しかった。

何気ない会話をしながら朝食なんて、一体何年ぶりだろう？

忙しい妻とは、朝は勿論、夜でさえあまり顔を合わせる事がない。

たまに顔を合わせると、決まってイヤミを言われるから、顔を合わせたくなかった。

「雄一さん、おいしい？」味噌汁に口をつけながら、リリカが上目遣いで僕を見た。

「うん。朝御飯がこんなに美味いとは思わなかった」僕はリリカにご飯のおかわりを頼んだ。