偶然

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「雄一さんは何故ここに?」母親のお墓に向かいながら、肩を並べて歩いた。 「僕の息子の墓参りだよ。10歳で死んでねぇ。なかなか受け入れるのに時間がかかったよ」雄一はさりげない口調で言ったが、内心は辛いと思われた。 「じゃあ、私も息子さんのお墓を参らせてもらってもいいかな?あ、でも、息子さんは嫌がるかなぁ?」 「そんな事ないよ。すごく喜ぶよ。ハァ~。うちの妻も、仕事も大事だろうがたまにはここに来てやって欲しいなぁ」 いくらあいつでも、自分の息子のお墓なら来るはずだと思うが、私はあえて雄一の言う事に否定も肯定もしなかった。 母親のお墓に着いた。 雄一はゆっくりと、丁寧にお参りをしてくれた。 そして、私達は雄一の息子のお墓に向かった。
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