耽溺

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リリカの爪先が触れた太ももが熱かった。 そして、リリカの甘い声や僕の体をなぞる唇を思い出して一人で興奮していると、僕はリリカのマンションにいたのに気がついた。 部屋の前に来てチャイムを鳴らすと、のんびりとした彼女が出てきた。 リリカはニヤリと微笑むと、僕を玄関に引き入れた。 玄関のドアを閉めると、僕は貪るようにリリカの体を抱いた。 「ちょっと、電気消してよ」少し怒ったようにリリカが言ったけど、僕は無視をした。 嫌がるリリカの着ていたワンピースを脱がすと、腕から肩にかけて数えきれないくらいの傷痕があった。 「リリカ、これは誰にやられた?」僕はリリカから体を離し、さっきまでの興奮は消え去った。 「…。私よ…」だから見せたくなかったのにとブツブツ言いながら、リリカは着ていたワンピースを引き寄せ腕を通そうとした。 お店でも、どんなに暑くてもいつも長袖を着ていた。 自分で傷を付けたなんて、一体彼女の過去に何があったと言うのか?
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