耽溺

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寝室のベッドに倒れ込むと、何を思ったか、リリカはベッドサイドにある引き出しからナイフを取り出した。 「やめなさい」僕がリリカからナイフを取り上げようとすると、彼女は素早く自分の手首を切った。 そして、驚く僕の手首にもナイフを入れた。 鋭い痛みと、生暖かい感触に寒気がした。 「リリカ、何を…」痛がる僕の手首に、黙ってリリカは口をつけた。 リリカの体は僕と自分の血で赤くなってた。 「雄一さん…」リリカは自分の血だらけの手首に口をつけ、そして僕の唇にキスをした。 人の血は鉄の味がすると聞いたが、リリカの血はとても甘かった。 いや、甘く感じたんだろう。 僕はしばらく、彼女の舌越しに血を味わっていたが、リリカが唇を離すと自ら彼女の血だらけの手首に口をつけた。
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