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それでも粘り強く頑張ってはいるのだが、大会では勝つどころか競ることすらできず、揚げ句の果ては監督から「そろそろマネージャーやってみないか?」と言われる始末。
泣きまするぞこら。
……まあ、いいんだけどね。
そんなこんなで今日も頑張って部活したわけだ。
季節は夏に入りかけた6月上旬。
帰り道に沿って続く、丈の短い雑草が生い茂った草むらからは虫の柔らかな鳴き声が聞こえ、この時期特有のほんのりと湿った風が優しく肌を撫でていく。
「おい!!話聞いてんのか?」
そんな穏やかな情景には不釣り合いな叫び声が隣から聞こえた。
「ごめん。聞くつもりがなかった。」
「だから、今日2組の真由ちゃんのパンツを見たんだって!!って、聞くつもりもなかったのかよ?」
隣で頭を抱えながら体を左右に捩り回す、弱めんどくさいこの男は幼なじみの狩集彰吾(かしゅうしょうご)。
幼稚園からずっと一緒で、今では部活まで同じテニス部だ。
顔は悪くないんだが、思考回路が変態寄りなせいかいまいちモテない。
「なあ、何色だったと思う?」
さっそく変態よりな発想と変態染みた表情を浮かべる彰吾。
「知るかよ。ていうか知らなくていい。」
「なんだよ。もっとくらいついてくると思ったのに。」
この手の話しに興味が無いわけじゃない。
俺がテニス部に入った理由からもわかってくれるだろう。
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