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ちなみに父親の白山健(しらやまけん)は海外に単身赴任中。
~ちょっと回想~
「なあ俊樹。母さんは俺が単身赴任したらどうなると思う?」
海外へ発つ前日の夜。
キッチンで風呂上がりの牛乳をイッキのみしていた俺に、父親はいつになく真剣な表情とトーンで話しかけてきた。
「ん?どうって?まあ淋しがるだろうね。」
「そこでだ。俊樹。お前を男と見込んで頼みがある。」
「そんなに改まってどうしたんだよ?」
「俺がいない間、母さんを俺の分まで大切にしてやってくれ。」
「……わかった。俺、たぶん頑張るよ。」
まあここまでは親父と息子の適度に熱い会話だったわけだ。
問題は次。
「キスまではしていいからな。ただ、最後まではするなよ。そんなことしたら父さん泣いちゃうから。」
そう言いながら、父親は俺のデコを人差し指でつついてきた。
あまりの気持ち悪さに、デコからじんましんが出そうな勢いの俺は素早く牛乳パックを冷蔵庫にしまい、
「誰がそんなことするかあ!!キスすらせんわ!!」
とりあえず、あらんかぎりの力で父親にローキックをお見舞いした。
「痛い!!」
太股を押さえながら倒れ込む父親という名の背徳者。
「だって、母さんがしょっちゅう俊樹とキスしたいって言ってるから。」
あのクソババア。
「だからって息子と母親のキスを公認するなよ!!」
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